日清食品の強み・弱み・展望

<日清の強み>
日清食品と言えば即席めんのパイオニアであり、国内市場での圧倒的なブランド力と業界ナンバーワンのシェアを持っています。カップ麺は明星食品子会社化で国内シェア5割超で袋麺も首位級のシェア。金のなる木、カップヌードルというビッグブランドの存在が最大の強みと言えるでしょう。「チキンラーメン」「どん兵衛」など根強い人気のある一流ブランドも日清食品です。浮き沈みが激しい食品業界において、その技術力とマーケティング力には定評があります。また、CM等での商品PRも上手く、「食の安全」に対する取り組みも積極的にアピール。つれて企業イメージも良いものとなっています。

<日清の弱み>
カップヌードルという絶対的なビッグブランドを持っているが故の甘え、社員にハングリーさが薄いとよく言われています。トップダウンの組織であるため、決定された事業を展開するスピード感はありますが、十分な検証もあまりせず、見切り発車する事例が多くみられます。また、創業家をはじめ、上層部の連中は交渉が下手(逆におだてに弱い)で、頭を使って合理的に物事を進められないところがあります。行き当たりばったりの傾向が強く、その結果、火事が起こり、下っ端の社員たちは火消し作業に力を注がねばなりません。投資に対するリターンはどうなるのか、といった経済的・計画的視点も欠如しています。同業他社に比べ海外展開は遅れ、収益力も低く、グローバル化に向けた人材も不足しています。また、組織は全体的に強烈な体育会系であり、離職率も高く、人を育てることが苦手です。

<将来展望>
今後は海外市場に積極的な展開をしていくことを、対外的にも発表しています。日本は人口が減少していますが、世界的には人口は増加しており、食品を提供するメーカーが海外で勝負することは当然の選択と言えます。キャッシュリッチな企業であるため、体力はあると思いますが、これまでの実績に鑑みるに、海外での成功事例は少なく、まだまだ投資の段階です。これらの種まきがうまく行けば更なる成長路線に乗り、売上高1兆円の目標も見えてくるのでしょうが、失敗すれば、国内メジャーとして細々とそれなりにやっていくことになるでしょう。