日清食品の社風

<創業家>
日清食品は典型的な同族企業であり、その社風を一言で言うならば「創業家万歳!」というノリです。グループ会社の取締役、監査役に現社長の身内がおり、その他の重役も社長の出身大学である慶応義塾大学出身者が多いです。2015年には若くして創業者の孫である安藤徳隆氏が社長に就任しました。三代目ということもあり色々な意味でマスコミからも注目されています。あらゆる事項が創業家のトップダウンで決まり、役員であろうと異論を唱えることはできません。役員は飾りのようなものだと揶揄されていますが、それは仕方がないでしょう。取締役や一部の部署の人間は安藤家の意向と反しない行動をとることが非常に重要となります。進めていた案件でも社長の一言ですべて台無しになることも。しかも改良したものをまた元に戻せとかそんなレベルの低いことばかりで、現場は士気が下がります。

創業者一族が「神様」で、以下、役員、部長、管理職も自分より職級が低いものに対して、同じ様な態度をとります。よって、商品開発の方針等、全てが顧客ではなく、社長や役員に向かざるを得ません。社長がやりたいことは、反論もなく全社一丸となって取り組みますので、ものによってはスピードが速いです。外から見ると非常にイメージが良い会社ですが、中身は昔の中小のオーナー企業がそのまま大きくなったという感じです。

<体育会系>
企業風土は「体育会系」。どの部署も縦社会で、どんなにおかしくても下が上に反論することは認められません。大阪発の企業ということもあり、根性論好き、できないと言うと「なんで出来へんねん」と一喝される風潮があります。上から無茶な要求が来ても、基本『Yes』しか認められず、かなりきつい要求が来ることもしばしば。そのため、どう考えても無理な仕事ばかりを回され、心と体が疲れ切っている社員が大勢存在します。上が下を守ってくれるかどうかは、部署によるため、配属先はかなり重要な問題となります。職場によっては怒号が飛び交うような状況で仕事をしなければならず、労働環境が良いかといわれると、決してYesとは言えません。人によってはブラック企業だと感じると思います。仕事内容も、自分で考えて仕事をするというより、上から言われた仕事をこなすので精いっぱい。ある期間においては、新卒で入った社員がすべて辞めている期間が存在します。2chの就職偏差値は高い会社ですが、新卒にしろ中途にしろ、入って後悔している社員が多いです。なぜか、始業開始時間前にラジオ体操の音楽が流れ、みんな体操しています。

社内インフラ等も他グローバル企業に比べ大きく後れを取っています。そのためか、頭を使って物事を合理的に進めていくことが非常に苦手であり、「とりあえずやってみるか精神」で始めては失敗を繰り返しています。良く言えば常に何かをしているし、悪く言えば失敗から学ぶことを知らない文化です。その失敗も今のところは化物商品であるカップヌードルの利益で補填されているので、ある意味恵まれた会社ではあると思います。

<トップダウン>
同族企業特有の強烈なトップダウンとなっており、上層部の意見に対して反論ができるような機会は皆無であり、また、そうした思いを味わっているということで、上にはへつらい、下には厳しく当たるという風潮も蔓延しているように感じます。組織で方向性を決めるより、幹部個人の発案が直下で落ちてくる組織体制で、間に属する管理職は上で決まった内容に関しては、どんな難しい内容でも首を縦に振り、あまり中間管理職として機能していないようにも見えます。一番大変なのは下に属する技術者でしょう。ただ、幹部個人で決めた事はズバズバ行われていくので、非常に小回りの効く企業体質だと思います。

<組織体制>
チーフオフィサー14人、本部組織も10近くある縦割りの組織になっています。お互いがシノギを削り、創業家のために情報戦を日々おこなっているため、組織がすり減っている印象があります。最近では、ご子息に権限が集中されていく傾向にあるため、トリマキ連中による社内政治の色がより濃くなっていくのではないか、という懸念があります。そのような状況ですので組織間の風通しはあまり良くありませんが、うまくはまりこむことができれば居心地のいいポジションもあるように見受けられます。近年組織編制が目まぐるしく、新しい部署部門も増え、中途入社社員も多く採用しています。中途採用で入った方がいきなりグループ長に着任することもあります。配属部署によって残業や休日出勤の割合は異なり、それらがほぼ0な部署と激務な部署があります。縦割り体制を崩し、横のつながりを活かせるよう編成中です。

<スピード重視>
即席ラーメンの先駆者、時短調理を商売としているだけにせっかちな社風です。安藤家がやるといったら無理を押してもやります。商品寿命が短いため、仕事のサイクルは早く、社内は常にバタついています。しかし、直近10年間で世界の即席めんの総需要が約500億食から1000億食へと拡大している速度を考えればスピード感のある社風は必要かと思います。商品のサイクルが早いので、社内の動きもそれに伴いめまぐるしく変わるため、腰を据えて、ものづくりに携わりたい人には向かない企業体質だと思います。

<創業者精神>
日清食品グループにとって、創業者である安藤百福氏が生み出したチキンラーメン・カップヌードルの存在が大きく、創業者精神が強く根付いています(「転んでもただでは起きるな」等)。昔から、あらゆる部門において基本的に少数精鋭で、一人に任される責任が大きく、業務量も多いです。与えられた業務をこなした上で、新たな提案を行えば、(業務量は増えますが)その仕事を任せてもらえる風土です。このように、責任、業務範囲が広い代わりに、自由度も高いので体力と気力に満ちている方にはとても心地よい社風なのではないかと思います。適性が大切になってきます。

<海外展開>
グローバル化の真っ最中で、高い語学力や海外生活の経験があると、若手でも海外業務に携わることが可能です。世界展開するフレーバーはシーフードヌードルに統一することが決まりましたが、現状は、安定的な国内経営と比べ、海外展開はうまく行っておらず、やっていることが無策に感じます。本格的な海外進出の時期も他社と比べて3テンポくらい遅いです。現地でのオペレーションが管理できておらずトラブルも多いのが現状です。どこかで大きな行き詰まりや株式の減損により海外展開のスピードや行動が180度方向転換せざる得ない事となった場合、規模縮小、将来的な展望が描けなくなってくる可能性があるでしょう。

<営業手法>
トップメーカーであるからこそ通常の営業手法ではなく、不景気の中でも自社のブランドを守り、業界全体の価格バランスを守る営業を行っています。こういうところは国内のリーディングカンパニーでなければなかなか経験できないでしょう。規模や金額が大きなプロジェクトに関われることが多いため、やりがいはありますが、全体的に管理体制がしっかりしていないので、常に個々人が手一杯の仕事を抱えています。

<ユニークな人材>
会社として「既存の型にとらわれない」「ユニーク」といった社風を全面に押し出していることから自然とユニークな人材が多く集まっているように思えます。また、その傾向は採用選考におけるエントリーシート(ES)や面接の質問においても顕著に見られます。ただ、そういった人材が入社後に活躍するのかというとそうでもなく、また会社も活躍を期待していないように思います。

<自己申告書>
1回人事部が求める自己申告書があり、自分の将来像、取得資格、現在の職場環境等を申告するものがあります。表面上は人事部が内容を管理し、外部には漏らさないようになっていると言われていますが、実際は全く異なり、上司の悪口を書いてしまうとすぐにそれが上司に伝わるシステムになっているようです。これはどこの会社でも同じだと思いますが、悪口や陰口は社内ですぐに伝わってしまうものなので、黙っておくことが社会を生き抜くために必要な知恵だと思います。

NO残業デー>
水曜日にNO残業デーがあるので、水曜日の定時後の飲み会が非常に多いです。幹事を引き受けて場を和ませ、気をうまく遣える人は人気があります。また、忘年会にも力を入れていますが、そこで若手の男女社員が幹事になり、それがきっかけで恋に発展することも多いようです。

<ライバル>
東洋水産には絶対に負けたくないという雰囲気がありますが、いかんせん海外市場での戦い方が下手なので、国内での内弁慶になっています。株価で比較しても日清食品HDの方が冴えません。