2018/07/30 即席麺―日清食品HD、海外で攻勢

 世界で1千億食が食べられているとの試算もある即席麺市場。英調査会社のユーロモニターインターナショナルによると、2017年の小売販売額は325億8300万ドルと、前年に比べて2%増えた。上位陣の顔ぶれをみると、麺が食文化に浸透しているアジア企業がずらり並ぶ。日清食品ホールディングス(HD)や東洋水産といった日本勢も食い込む。

 首位になったのは台湾の頂新国際集団だ。即席麺の大消費国である中国でトップシェアを誇る「康師傅」を傘下に抱えるのが強みだ。康師傅には日本の大手即席麺メーカーの1社であるサンヨー食品も出資している。4位となった統一企業も含めて、台湾勢の強さがうかがえる。

 2位は「カップヌードル」のブランドで知られる日清食品HDだ。日清食品HDは巧みな広告戦略を武器に日本市場をけん引する存在。海外ではシーフード味を前面に押し出した商品展開を続けている。ブラジルやロシアなどを重点地域と位置づけており、中国では昨年12月の香港市場への上場を機に攻勢を強めている。

 5位の東洋水産は「マルちゃん」ブランドの即席麺で知られる。国内では既存ブランドに加えて、カップ麺では「QTTA」シリーズの浸透にも力を入れている。米国やメキシコなどで高いシェアを持つ海外では、昨年9月にはブラジルに現地法人を設立するなど、南米での事業展開も加速させる構えだ。

 世界ラーメン協会の調べによると、ナイジェリアやネパールなど即席麺の需要が伸びている国は世界で多い。

 新興国を中心に経済成長や人口増が見込める国々では、即席麺需要の増加も期待できそうだ。中国やインドネシアといった巨大市場も含めて、各社の世界戦略が今後のシェア争いにも影響を与えそうだ。