ココナッツサブレ、ココが変わった、日清シスコ、若者向けシフト、小分け包装に切り替え、生産5割増へ(2017/12/01)

 日清食品ホールディングス傘下の日清シスコが販売するビスケット菓子「ココナッツサブレ」が、客層の若返りに成功している。発売から50年以上たつロングセラー商品だが、若者に人気のアイドルグループを起用した宣伝効果などで15~29歳の購入者数はこの2年で3割増えた。生産能力を5割引き上げ、2018年度の売上高は17年度比で2ケタ増を目指す。

 ココナッツサブレは1965年に発売し、ビスケットの定番品として親しまれてきた。ただ、購買層の高齢化が長年の課題となっており、2014年時点では購入客の半数以上が50代以上だったという。

 客層の若返りを進めるため、日清シスコは15年から若者に人気のアイドルグループ「私立恵比寿中学」を使った大規模な宣伝活動を開始。さらに持ち運びがしやすいように、商品を小分け包装のタイプにいっせいに切り替えた。

 10~20代向けの販促に大きくかじを切ったことで、「通学時のおやつなどとして携帯してくれる若者が増えた」(同社)。今後も需要の増加が見込めるとみて、今秋に東京工場(埼玉県熊谷市)で製造ラインの増設に踏み切った。

 高校生らに放課後や部活前にココナッツサブレを食べてもらおうと、今秋にはパッケージを変えた商品も発売した。放課後の午後3時20分と、サブレ(320)のゴロをひっかけて、箱に「3:20」と大きく表示した。18年1~2月にも若年層を狙った新商品の投入を予定する。

 さらなる拡販に向け、このほどツイッターでココナッツサブレが320日分あたるキャンペーンを実施。3月20日の「サブレの日」に合わせて全国のスーパーで試食販売も実施する計画だ。

 ビスケット菓子の市場そのものは伸び悩んでいる。全日本菓子協会によると、16年の市場規模(小売金額ベース)は、前年比1%減の3685億円だった。メーカー各社は高付加価値品の開発に力を入れ始めている。

 豊留昭浩社長はココナッツサブレについて「製法や味わいを変えないことがロングセラーの要因」と話すとともに、「味の種類を増やすことで若年層をさらに開拓する」と意気込む。