2018/08/27 日清食品「チキンラーメン」―こんな時代こそ、肩の力を抜いて

 CMは時代の鏡と言われる。その時代の空気感を敏感に反映するからだ。日本経済が高度成長の波から転換しつつあった1970年、富士ゼロックスのCMは「モーレツからビューティフルへ」とメッセージを発し、80年代末のバブル時代にはリゲインのCMが「24時間、戦えますか」とお茶の間を挑発した。

 そして今、日清食品「チキンラーメン」のCMは極めてユルい空気感を発している。布団に寝そべる新垣結衣さん。「はぁ、チキンラーメン飽きた。新しいのがいい」。隣では、下手すぎるリコーダー奏者がユルく曲を奏でている。そこへ登場するひよこちゃん。無言で「サバ・チキン」や「麻婆・チキン」などのレシピを提案するが、このやりとりも終始ユルい。最後は新垣さんのどこか投げやりな「日清」のナレーション。

 見ているこちらまでユルくなる。CMの目的はお茶の間の共感を得ることなので、これはこれで成功だろう。