転んでもただでは起きるな!(安藤百福)

百福さんはメリヤスの番数に拘っていたからこそ、調整が難しかったチキンラーメンが誕生したのではないだろうか。


・安藤百福さんと言うとインスタントラーメン(チキンラーメン)の生みの親と言われ、カップヌードルの開発によって世界に羽ばたいた日清食品の創業者である。

・その百福さんが“チキン”の開発に成功を修めたのは氏が48歳の時であり、この頃の作業を手伝っていたのが当時10歳であった宏基さんとなる。

・この本は百福さんが学校を卒業して22歳の頃から営んだメリヤス製造販売の話から進んでゆく。

・百福さんには最初の二年間に就いた司書以外に勤め人の経験はなく、商売人オンリーの道を歩んでいる。

・戦時中、軍用機用発動機部品を製造する会社を知人と共同経営をするも、その知人の企みによって憲兵からの拷問、そして囚われの身に置かれてしまう。

・この他にも氏には脱税の疑いによって巣鴨プリズンへと入れられてしまう出来事も生じるのである。当然、其処には百福さん自身が面識のある人物もいた事などが記されている。

・百福さんが“チキン”の開発に辿り着くのは色々なビジネスを経験し、頼まれて就いた信用組合の理事長職にて倒産の責任を問われ、財産を没収されてからの事だった。

・ここからは現在に至る迄の日清食品のストーリーとなる所である。

・日清食品のストーリーを学ぼうとする時、私は下記のコンテンツを活用される事をオススメしたい。

 1. 【カップヌードル ミュージアム】
    百福さんのスピリットを感じる事ができる。

 2. 【プロジェクトX挑戦者達 魔法のラーメン 82億食の奇跡~カップめん・どん底からの逆転劇】
    チキンラーメンの開発・成功から一転して経営不振によるどん底へ。
    そしてカップヌードルの開発秘話をスタッフの角度から知る事ができる。

 3. 【転んでも、ただでは起きるな!(この本)】
    百福さんを主人公として、ビジネスを始めた頃から逝去される迄の人生ストーリーを、“百福哲学”を含めて知る事ができる。

・本書の第2部には「安藤百福かく語りき」と言う本文からの抜粋語録もあり、これらは百福哲学ともなっているので、ニーチェやドラッガーの語録を読むのと同じようにして繰り返せば、きっとブレる事のない心構えが育つだろうと思えるのであった。

・百福さんの全体像を知る事ができる一冊の本として面白かった。

・ビジネスは良き経営者である百福さんや、本田宗一郎さん、松下幸之助などから学ぶべきだと再確認をさせられたエスプリのある良本だった。


転んでもただでは起きるな! - 定本・安藤百福 (中公文庫)
安藤百福発明記念館
中央公論新社 (2013-11-22)
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